本年度においては、情報化は組織の学習であるとして捉え、ハードウェアの進化によって促進される局面、利用技術までを含めた広い意味での「ソフトウェア」の蓄積によって進展する局面の2つの違った性質の進展からなる、とするモデルを仮説として考え、それを確認するための調査を行なった。調査対象としては、財務会計業務システムをある程度の規模でとりいれ、業務規模も大きいと考えられる人口10万人以上の227自治体を選び、郵送によるアンケート調査を行なった(回収率53.7%)。調査を依頼した部課は、財政担当課と、電算業務担当課である。これによって、ニーズ面と、技術面について把握した。財務会計業務は、大量定型業務から少量非定型業務までの作業を含み、処理形態としても外部委託処理から、個人単位の業務を含んでおり、その処理形態は多様である。また予算事項はどんな部課にも必要不可欠な業務であることから、システム化の要請が大きく、そのノウハウの蓄積はそれまでの経緯を反映したものとなっている可能性が大きい。調査結果からわかったことは、システム導入の契機は、ハードウェアの技術的進歩による性能の向上・コストの低下が引き金となっており、運用実績ができあがるにつれ、利用分野の多様化が進み、さらに再びハードウェアのコストパフォーマンスなどの向上がシステムの改変を引き起こす図式が確認された。この情報化進展のモデルによって、ある局面における情報化の進展がどちらの側面で起こるかが説明できるようになった。結果では、それぞれの自治体の情報化がどの段階まで到達しているかを区分し、その進展の位置づけの手法となることを示した。これらの研究内容については、口頭発表を行なった。
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