研究概要 |
本研究では,水害時の住民の対応行動が過去の水害経験やそれに基づく情報に対する態度によって大きく影響を受けることに着目し,水害を経験することあるいは長期間経験しないことによる水害意識の変化や,水害を経験した際に提供された情報の適・不適によって変化する住民の情報に対する態度が避難行動に影響を与えるプロセスのモデルを開発した. まず,水害に対して流域住民が個々に持っている漠然とした意識を水害危険観としてファジイ集合で表現し,水害を経験することを経て危険観の変化する様子をファジイ推論を用いてモデル化した.さらに,水害を経験しない期間に過去の経験を忘却していく過程を,水害危険観を定義するメンバーシップ関数の形状変化で説明する. さらに,水害時に住民が得た情報は,個々人の評価を経た上で避難行動に影響を与えることに注目し,洪水時に与えられる情報に対する個々人の評価を表現するパラメータとして情報依存度を定義した.そして,一回の洪水を経験した際に,個々人が受け取った水害・避難情報と洪水中に経験した浸水位との対応関係から情報依存度が変化する様子を,ファジィ知識ベースに記述している.
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