研究概要 |
本研究は河川の水系内のため池群が降水の流出に対してどのように働くか,また洪水調節機能を有することが定量的に示せるかについて観測・解析することを目的とした. まず年度当初に,香川県東部の新川水系内から水位観測を実施するため池を選定した.稼働できる観測器が故障等で2台しかなかったため,観測を実施するため池を2ヶ所だけ選定した.1つは香川県三木町運動公園内の山大寺池,もう1つは鍛冶池で,いずれも山池である. 水位観測は水圧式水位計とメモリー型データロガーを利用して実施した.計測開始は平成5年6月下旬で現在も継続中である. 今年度の県東部の降水量は例年に比べて多く,結果が期待されたが,短期集中型の豪雨は少なく,また山大寺池については通常秋口に水を落とすところを国体(国民体育大会)のため常時満水状態に調節されていたので,水位変化が7月に入ってからほとんど無く,降水と水位変化の関係を求めるための基礎データは得られなかった. さらに鍛冶池については直接流域が狭く,隣接した間接流域から導水路で取得しており,そぬ運用(セキの開閉)はチェックしていたが,実際にはそれ以外の間接流域もあって,池への水の出入りを完全に把握することはできなかった. 現在は,2つのため池水位データの6月から10月の間で利用し得るデータを抜き出し,新川の水位データとあわせて,降水が河川へ流出するまでにため池の空容量(満水時-降雨開始前の水位)がどう関わるかについて定量的な解析を試みている段階である. また,現在はもう1ヶ所,直接流域のみをもつため池を選定し,水位観測を開始している.今後は各ため池への導水路による水の流入経路について再チェックして流入の有無をおさえ,同様な水位観測を実施して,河川流出とため池群の動態を解析する.
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