微粒子を含むプラズマは、(1)微粒子が非常に大きな電荷を持つことが可能であること、(2)重力を考慮する必要があること、(3)微粒子の分解及び蒸発過程が存在することなど、これまでのプラズマ物理にない興味ある問題を提起する。 本研究では微粒子プラズマを生成する方法として、振動子(例えばスピーカー)を用いて微粒子に運動量を与え、プラズマ中に投入する方法を開発した。本方法は、(1)微粒子の材質に依存しない、(2)周波数及び出力を調整することにより投入される微粒子の粒径を制御できるなどの特徴を有していた。これまでの実験において、真空(プラズマ)中でも本手法が有効であることが確認されている。図は振動子としてスピーカーを、微粒子としては平均粒径0.1mumのカーボンブラックを用いた実験結果を示している。横軸はスピーカーへの発振器出力であり、縦軸はプラズマパラメータの変化を示している。微粒子の導入に伴って、電子密度の減少と空間電位の上昇が観測されている。電子密度の減少は、導入された微粒子が負に帯電することに起因すると考えられ、微粒子プラズマが生成されていることを示唆している。 更に、微粒子に働く力の微粒子粒径依存性の解析により、微粒子のプラズマ中での挙動は強くプラズマ中での空間電位分布に影響されることがわかった。このため、プラズマ生成部に改良を加え、空間電位の径方向分布をいわゆるHilI型に制御し、負に帯電した微粒子を効率的に閉じこめる実験を行った。
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