ドライエッチング用のプラズマ源として、マイクロ波ECRプラズマが広く用いられている。プラズマ中のイオンはエッチングに直接関与することから、イオンのエネルギーや速度のみならずその方向性を明らかにする必要がある。本研究課題では、キャピラリープレートを第1グリッドのもつ角度分解能に優れた(1〜2^°)方向性エネルギーアナライザを用いてイオンの2次元速度分布関数宇を精度良く測定し、マイクロ波ECRプラズマにおけるイオンの2次元的挙動を解明した。以下に得られた結果を述べる。 1.イオンの2次元速度分布関数はECR領域近傍(上流域)でほぼ等方的であるが、下流域では、上流域との電位差によりイオンビームが形成される。そのム-ビは、装置に依存するある角度内で観測され、その角度以外での分布関数はおおよそ等方的である。 2.イオンビームの平均速度は、ECR源から離れるにしたがい増加するが、作動気体圧力の増加とともに減少する。 3.ECR源からの距離および圧力の増加とともに、イオンビームのエネルギー拡がりは増加し、バルクイオンの温度は減少する。 4.装置の中心軸からずれた点では、中心軸に対してある角度を持ったイオンビームが形成される。ビーム方向は、その場での磁界の方向とおおよそ一致し、磁界配位に依存する。すなわち、下流域の磁界をcollimateするとイオンビームもcollimateされる。 5.下流域の磁界をcollimateすると、上流域と下流域での電位差が減少し、下流域で観測されるイオンビームの平均速度は減少する。またそのとき、ビームの温度は増加し、バルクイオンの温度は減少する。
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