市販の冷凍ムキエビ、冷凍タラ、冷凍カキ(約50g)を通気性の良いビニール袋に入れ、細かく砕いた氷と食塩と共に発泡スチロール製の容器に入れ、-20℃以下に保ちながら^<60>Coガンマ線を線量を変えて照射した。照射後、冷凍庫内で-20℃の条件下で貯蔵する。一定期間保存した試料から5g冷凍包丁(南蛮船SHC、堺)により凍ったまま切り出し、水10mlとともにガスサンプリング用バイアル(容量30ml)に入れ、電子レンジ(三菱RR-609)により加熱解凍し、ヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィーにより分析した。種々の条件を検討した結果、冷凍エビ、冷凍タラの場合は60℃に、冷凍カキの場合は20℃に加熱し、加熱後ボルテックスミキサ-でバイアルを10秒かくはんして試料と水とを混ぜ合わせることにより、精度良くガス分析ができることがわかった。 照射試料からはH_2ガスとCOガスが検出されたが、非照射の場合、56日間保存した冷凍タラから0.018mul/gのCOガスが検出されただけで、それ以外の試料からはこれらのガスは検出されなかった。照射試料に保持されたCOガス量は肉類に比べるとばらつきが大きくなる傾向がみられたが、線量に依存して増加する傾向がみられ、1kGy以上の放射線照射では照射後少なくとも2カ月程度の検知と線量の推定が可能であった。H_2ガスは冷凍肉類に比べて長く保持されており、照射後2週間程度はH_2ガスを指標として1kGy以上の放射線照射の検知が可能であり5kGy以上の線量に限れば照射後2カ月においても検知が可能であった。
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