研究概要 |
核融合第一壁への適用が検討されているボロン混合黒鉛は、炭化ボロンB_4Cと炭素とを混合して焼結した黒鉛材料である。本実験でボ使用したボロン混合黒鉛は、ロンの濃度が0,3,10,20wt.%のGB-100,GB-103,GB-110およびGB-120である。本研究では試料の加熱前後で重量を測り、重量減少量から損耗量を評価した。 まずボン混合黒鉛を真空中で加熱し、熱的な蒸発特性について評価した。 ・1000℃以上加熱するとボロンが蒸発し始める。 ・1700℃以上でボロン蒸発が顕著となる。 ・2000℃以上で炭素の蒸発も顕著に観察されるようになる。 ボロン混合黒鉛の温度を変化させ、4.5keVの水素イオンH_3^+を照射した。フルエンスは1×10^<19>H/cm^2である。 ・700℃付近でエロ-ジョン率の大きくなる化学スパッタリングが約1/5に減少した。 ・1000℃以上で顕著になる照射促進昇華は通常の黒鉛と同程度で、ボロン添加による抑制効果は見られない。 化学スパッタリングが抑制されたのは注入された水素が容易に脱離し、表面水素濃度が低くなるためである。 以上の実験結果より、ボロン混合黒鉛は1000℃以下の温度領域において使用することが望ましいといえる。化学スパッタリングを抑制することができるためである。しかしながら、1000℃以上では、照射促進昇華を抑制することができないこと、ボロン蒸発が生じ始めることから、通常の黒鉛よりもエロ-ジョンが大きくなり使用には適さないと言える。
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