研究概要 |
1)脳内に存在するMnの存在形態を明らかにするために、種々のMn化合物をマウスに12か月間過剰に経口投与した。脳の線条件をホモジェネートし、超遠心により細胞分画を行った。細胞分画中のMn分布をみ、更に可溶性画分をゲルクロマトグラフィーによって分離し、各分子量画分中のMn濃度を測定した。その結果、ミクロゾーム画分では対照群に比べMn過剰投与群で対照群に比べMn濃度の増加傾向が見られた。ゲルクロマトグラフィーによる分画では、高分子量画分(Mr.80,000-30,000)でのMn濃度が対照群に比べMn過剰投与群で増加傾向が見られた。しかし、この分画でMnに結合している蛋白質がトランスフェリン(Mr.約75,000)であるかどうかは明らかではない。 2)初代培養ウシ脳毛細血管内皮細胞におけるマンガンのDose Responceについて検討したところ、当大学の原子吸光光度計で測定可能な濃度(≧20muM)では、細胞内取り込み速度がplateauであり、更に低濃度での検討が必要であった。そこで、アイソトープを用いての実験を検討したが、施設の機器が不十分であったため遂行が困難であった。従って、Ca,Cu,Ni等との相互作用については、時間の関係で残念ながら検討できなかった。 Mn^<3+>の合成を試みたが、生成物は非常に不安定で、細胞の培養時間中、十分な安定性が得られなかったので、細胞毒性を検討するまでには至らなかった。従って、Mn^<2+>との比較、更にFe,Al,トランスフェリン等との相互作用については検討できなかった。
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