糖質間の相互作用を検討するため、糖質と同様に水素基を多数有する、レゾルシノールと長鎖アルキルアルヒデドからなる脂溶性のホスト分子を合成し、これと脂溶性糖誘導体との相互作用について、円二色性スペクトルによって検討を行った。 その結果、以下のことが解った。 (1).糖質は一般に光学活性であり、また本ホスト分子は光学不活性であるため、本ホスト分子は、円二色性スペクトル特性は示さないにもかかわらず、CDスペクトルが発現した。これは、糖質とホスト分子間の多点水素結合によるホストーゲスト錯体の生成によるためであることが解った。 (2).特に、グルコース誘導体との相互作用においては、ホスト1分子に対してゲスト4分子からなる特殊な錯体が生成し、これには、ゲスト分子である糖質間の水素結合による相互作用が非常に強く影響していることが解った。特に、この錯体に異なった糖誘導体を添加しても殆ど影響が無いことから、安定性の高い錯体であることが解ると同時に、グルコースが本ホスト分子のサポートにより、自分自身を分子確認し、他の糖質とは相互作用しないことも解った。 (3).円二色性スペクトルによって種々の糖質の分子認識について検討を行ったところ糖質によって選択性に違いがみられ、糖質の非常に僅かな立体構造の違いがホスト分子と錯体を形成することで、増幅されることが解った。
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