研究概要 |
1.大腸菌によるalpha-ラクトアルブミン(alphaLA)発現系の構築 封入体として得られるalphaLArecombinantをRefoldingする条件を検討するためにジスルフィド結合還元alphaLAからの再生反応の効率を種々の条件で調べた。 2.alphaLAのH^^1-NMR帰属 通常の連鎖帰属法によりalphaLAのAヘリックスの一部(残基番号6〜9)とCヘリックス部分(残基番号86〜99)のNMR信号を帰属した。 alphaLAのフォールディング中間体(A状態)におけるヘリックスの安定性 上記の帰属されたNMR信号を用いて各アミドプロトンのA状態における水素交換反応速度を調べた。Aヘリックス部分の水素交換反応は速いため観測できなかったが、Cヘリックス部分の水素交換速度は規則構造をとっていない場合に比べて数倍から十数倍遅いものであった。 合成ペプチドの構造とその安定性 alphaLAの残基番号84〜100と84から107相当するペプチドを合成した。後者の101〜107の部分はA状態で疎水性クラスターを形成していることが知られており、Cヘリックスの疎水性残基(Ile95,Leu96)と相互作用することが期待された。しかしながら、両ペプチドともに水溶液中では規則構造を形成せず、A状態におけるCヘリックスの安定化には一次構造上より離れた残基との相互作用が寄与していることが示された。トリフルオロエタノールを加えると両ペプチド共にヘリックスを形成し、その変化から見積もった水溶液中でのヘリックス形成の平衡定数は10^<-3>程度であった。
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