研究概要 |
Ca^<2+>/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(キナ-ザII)の分子的多様性を解析するために、まず、ウサギの肝臓から抽出したRNAを用いて、cDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーから、既に得られているキナ-ザIIgamma′のcDNAをプローブに用いて、ポジテイブクローンC5を得た。このクローンC5の塩基配列を解析した結果、クローンC5は、gamma′と同じ塩基配列であるが、gamma′には存在しない69ヌクレオチドの塩基配列が挿入されており、新たなアイソフオームgamma′2であることが判明した。このgamma′2で挿入されている配列は、アイソフオーム間で、アミノ酸配列が変化している領域である、D-regionの中のD2領域に位置していた。このgamma′2のD2領域の23アミノ酸残基からなる配列は、gammaのD2領域の11アミノ酸残基からなる配列と相同性が低く、他のアイソフオームalpha,deltaのD2領域の配列と非常に相同性が高かつた。この結果より、gammaタイプのアイソフオームには、gammaに存在するD2aと、gamma′2に存在するD2bの、2種類のD2領域が存在していえる事が明らかになつた。このD2領域の異なるgammaタイプのアイソフオームが、RNAのスプライシングの違いにより生成されたものであるのか、或は、異なる遺伝子に由来するものであるのかを、解析するために、ウサギの染色体DNAについて、サザンハイブリダイゼ-シュン法が分析を行つた。その結果、gammaの遺伝子は、ゲノム中に、1個しか存在しないことが判明し、種々のgammaタイプのアイソフオームが、RNAのスプライシングの違いにより、生成することが明らかになつた。また、ウサギの肝臓のRNAより作製したcDNAを試料に用いて、PCR法により、gammaタイプのアイソフオームの解析を行い、肝臓では、gamma′1、gamma′2がほぼ同じ程度に生成されている事が判明した。
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