研究概要 |
大腸菌に産製させた67残基からなるマウスOct-3 POU-homeoドメインのほぼ全ての^1H,^<15>N,^<13>C核のシグナルの帰属を完了した。帰属には主として、^1H/^<15>N/^<13>C核3重共鳴3次元性を用いて行った。 得られた帰属を基に、主に3次元^1H/^<15>N NOESY-HSQC、^1H/^<13>C NOESY-HSQCから距離情報を、2次元HMQC-Jなどから角度情報を収集した。 収集した角度情報、距離情報を使って、X-plorによりsimulated annealing distance geometry計算を行い、マウスOct-3 POU-homeoドメインの溶液中での立体構造を決定した。 その結果、この蛋白質は3本のalphaヘリックスを持ち、2番目のヘリックスと3番目のヘリックスとそれらを結ぶ領域で、ヘリックス-ターン-ヘリックス(HTH)DNA結合モチーフを持つ事が判った。その中でも特に、ドメイン全体の構造、特に3本のヘリックスの折り畳まれ方は、ショウジョウバエのAnntenapedia,Engrailedなどのホメオドメインと非常に良く似ていた。 しかし、ホメオドメインの特徴である、HTHモチーフのC末端側の長いヘリックスは、POU-homeoでは見られなかった。これは、POU-homeoドメイン単独では、十分強いDNA結合活性を持たない事の説明になるとも考え得る。
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