本研究は、ショウジョウバエの視細胞をイノシトールリン脂質を介する情報伝達系のモデルとして、その網膜電位・形態を損なう突然変異の分子生物学的解析から、それらにコードされる情報伝達分子の視細胞における役割を解明することを目的にしている。とりわけ、ジアシルグリセロールキナーゼをコードする視細胞変性突然変異retinal degeneration A(rdgA)の解析に重点をおき、今年度研究を行なった。具体的には、このジアシルグリセロールキナーゼ遺伝子の詳細な構造解析を行ない、さらに抗体を作製し細胞内局在を明らかにた。 1.クローニングしたrdgA遺伝子の詳細な解析を行なった結果、コードされるジアシルグリセロールキナーゼ遺伝子はその触媒部位の他アンキリン・リピートを持っていることが明らかになった。また、既存の突然変異の変異部位を同定した結果、ナンセンス変異とミスセンス変異が起こっていることが明らかになった。 2.rdgAの抗体の作製 rdgAをコードするアミノ酸配列が明らかになったので、それを利用して抗体を作製した。抗体を作製に関しては、合成ペプチドを利用した。これによって、ジアシルグリセロールキナーゼ酵素の細胞内局在を調べた結果、rdgA蛋白は視細胞のsubrhabdomericな領域に局在していること、蛋白は110kDaであることが明らかになった。
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