研究概要 |
液胞形態形成にはVAM7遺伝子の働きが必須であることが突然変異株を用いたこれまでの解析から示されている.VAM7遺伝子産物の機能とその細胞内局在を解析するために,まず,Vam7p特異的抗体の調製を行った.酵母VAM7遺伝子断片を大腸菌のbeta-ガラクトシダーゼのカルボキシル端に繋がったような融合タンパク質を発現するようなプラスミドを構築し、これを感染させた大腸菌をIPTG存在下に生育させ,菌体をフレンチプレスにより破砕したのち,ゲル濾過,DEAEを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーの手法によりlacZ-Vam7p融合タンパク質を精製した.また,グルタチオン-S-トランスフェラーゼとの融合タンパク質を発現するようなプラスミドも同時に構築し,グルタチオンセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーによりGST-Vam7p融合タンパク質を精製した.これらの融合タンパク質をもちいて,まず,lacZ-Vam7p融合タンパク質をウサギに免疫し,粗Vam7p抗血清を得た.この抗血清を,GST-Vam7pをカップルさせたカラムを通すことにより,Vam7pに対して高い特異性を持った抗体を調製することが出来た.この抗体を用いて酵母の細胞破砕液を免疫ブロットしたところ,37-kDaのタンパク質が認識された.また,この抗体によって37-kDのタンパク質が免疫沈降された.VAM7遺伝子の構造解析の結果,Vam7pの大きさは37-kDと予想されていたこと,また,VAM7遺伝子欠損株の細胞破砕液中にはこのタンパク質が見いだされなかったことからこの37-Kdのタンパク質がVam7pであると結論した.細胞分画法によって細胞内小器官を分画したところ,Vam7pは液胞膜上に存在することが示された.Vam7pはその構造上,きわめて親水性の高いタンパク質であるのにも関わらず,オルガネラ膜上に存在したことは他の膜タンパク質との相互作用することが考えられる.
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