生体のcGMPを介する情報伝達系の役割を明らかにするために以下のような解析を行った。 1.前年度までにヒトcGMP依存性蛋白質リン酸化酵素のcDNAのクローニングを終えていたので、cDNAをもとに発現ベクターを構築し、この神経系細胞株に導入することにより、この酵素を安定に多量に発現する細胞株を得た。この細胞を用い、Ca^<2+>画像解析装置を用いて、bradykinin等で刺激した際の細胞内Ca^<2+>濃度の変化を測定しているがいまだ有意な差異は認められていない。今後、ホスファチジルイノシトール系の2次情報伝達物質産生に対する影響を検討したい。 2.個体レベルでの解析を容易にするため、酵素活性阻害作用を持つアミノ末端側の断片と大腸菌betagalactosidase遺伝子の融合遺伝子を作製し、この分子が中枢神経系の特定の細胞で発現するように神経系特異的プロモーターのもとにおいた発現ベクターを作製した。これを用いてtransgenic mouseを作製する。 3.遺伝的解析が容易なショウジョウバエの系を用いて、頭部特異的グアニル酸環状化酵素のcDNAをクローニングし発現パターンの解析より、この分子の機能を類推した。(J.Neurochem.1993)
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