アフリカツメガエルの卵母細胞にGABA_B受容体の機能発現を試みた。マウス全脳より得られたmRNAを卵母細胞中に注入した場合、GABA_B受容体の機能発現を電気生理学的に確認することができた。そこで次に、このmRNAよりcDNAライブラリーを作製し、in vitroでRNAを合成したものの発現を試みた。発現の指標として電気生理学的な方法を用いたスクリーニングを行った場合、よい結果がなかなか得られなかった。[^3H」GABA結合を測定することでも同定を試みたが、卵母細胞に特異的な[^3H]GABA結合は認られるものの、GABA_B受容体への特異的な結合を見いだすのは困難であった。一方、脳内GABA_B受容体を同定するために、その精製を試みた。GABA_B受容体作動薬であるバクロフェンを用いたリガンドアフィニティーゲルを作製し、ウシ大脳皮質中のGABA_B受容体を単離した。この標品を、すでに得ているGABA_B受容体の特異的なモノクロナル抗体を用いて解析した。その結果、分子量約8万の主要な蛋白質の存在を確認できた。さらに、この蛋白質の前後に抗体と反応する分子の存在が認られ、少なくともGABA_B受容体には2種類以上の分子種が存在するものと思われる。GABA_B受容体にはオートレセプターとヘテロレセプターの2種類が認られるという電気生理学的検討結果、あるいは受容体作動薬や拮抗薬を用いた時の反応性の違いなどからサブタイプの存在を主張する意見もある。これらの報告は今回の結果を支持するものであり、神経間の相互作用を考える上で、またGABA_B受容体の機能的役割を解析する場合のサブタイプに対する考慮が重要な問題となることが考えられる。
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