神経細胞の分化のメカニズムを解明するために、視神経細胞のモデルとして近年多くしようされているPC12細胞を用い、それらの細胞をnerve growht factor(NGF)または、cAMPの膜透過性化合物である8-bwomo-cAMPの存在下に培養した。それらの処置により、PC12細胞に膜電位依存性ナトリウムチャンネル、カルシウムチャンネルさらにはセロトニン受容体が発現されることを認めた。これらのチャンネル、受容体の特性を電気生理学的に解析したところ、カルシウムチャンネルにおいてはomega-コノトキシン感受性チャンネルが多く発現され、セロトニン受容体はタイプ3受容体であることが明らかになった。さらに我々はPC12細胞をフォスフォジエステレース阻害剤であるrolipram存在下に培養したところNGFと同様なチャンネル、受容体の発現作用を有しているを示した。またNGF存在下に培養を続けたPC12細胞を、その後NGFを取り除いた条件下で培養し続けるとomega-コノトキシン感受性カルシウムチャンネルが選択的に脱落することが明らかになった。現在これらPC12細胞に認められた神経細胞分化の現像が哺乳動物の中枢神経細胞においても起こることであるか調べるために、ラット海馬の神経細胞を培養しこれらにNGF等の成長因子を投与して実験を行っている。またこれらの細胞分化においてGAP-43がどのような役割を果しているか検討するために、この蛋白質に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて実験中である。
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