米国のハイネマンよりAMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体サブユニット遺伝子GluR1、GluR3を含むプラスミドを、また、独のシ-バーグよりGliR4を含むプラスミドを譲り受けた。プラスミドからグルタミン酸受容体のRNAをin vitro合成し、アフリカツメガエル卵母細胞に遺伝子導入することにより単一サブユニットタンパクのみから構成されるAMPA/カイニン酸型のグルタミン酸受容体チャネルを発現させた。GluR2のみからなる受容体チャネルは、電気生理学的応答を示さないので実験を行わなかった。そして、二電極膜電位固定を行い、タチナタマメレクチンであるコンカナバリンA(ConA10muM)によりグルタミン酸応答、カイニン酸応答、及びAMPA応答が増強されるかどうか調べた。ConAは、GluR1のみからなる受容体、GluR3のみからなる受容体、GluR4のみからなる受容体のいずれに対しても、また、グルダミン酸(100muM)、カイニン酸(100muM)、AMPA(20muM)のいずれに対するアゴニスト感受性電流応答をも増強した。しかし、増強の程度は、サブユニットの種類により、また、アゴニストの種類により大きく異なった。最も増強効果の強かったのはGluR1受容体のグルタミン酸応答でConAにより6.9倍に増強されたが、最も増強効果の弱かったGluR3受容体のカイニン酸応答は1.1倍にしか増強されなかった。グルタミン酸受容体の脱感作を抑制することにより応答を増強することが知られているアニラセタム(1mM)は、ConAによって増強させられたアゴニスト感受性電流応答を更に増強し、最も強い増強効果の見られたGluR4受容体のグルタミン酸応答は、ConAとアニラセタムの相互作用により元の63.8倍にまで大きくなった。
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