研究概要 |
これまで、中胚葉系幹細胞と2種の筋芽細胞を、培養条件の調整により筋細胞へ分化させる系を用い、筋分化初期過程の電気生理学的解析を行い、前者ではT型Ca^<2+>電流や内向き整流性K^+電流が、後者ではTTX抵抗性のNa^+電流が出現するという違いがあることを明らかにした。これは、筋の初期分化決定遺伝子群MyoD,myogeninなどのどの遺伝子が発動するかによって、ことなる分化プログラムが走ることに起因すると考えられる。今年度、各筋分化決定遺伝子により、各イオンチャネル発現がどのように制御されているかを明らかにしていく分子レベルでの研究の第1ステップとして、(中胚葉系幹細胞の分化初期に特長的にみられる)内向き整流性K^+チャネルcDNAのクローニングにとりくんだ。この結果はすでに原者論文(Nature,362 127-133,1973)として発表した。今後さらに、このcDNAをプローブとして、genomic cloneを単離し、その上流域の解析をすすめることによって、内向き整流性K^+チャネルが各筋分化決定遺伝子により、どのように発現の調節を受けているかを明らかにし、各筋分化決定遺伝子のもつプログラムの特質を探っていく予定である。
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