研究概要 |
これまでの研究により研究によりマウス修復遺伝子ERCC5cDNAをクローニングした。本年度の研究によりマウスERCC5cDNAの全領域には対応していないが、ゲノミッククローンを数個得た。この中の1つのゲノミッククローンは全長が約19kbあり、少なくとも700bp以上ある1つのエクソンを含んでいることが判った。よってこのゲノミッククローンを用いてターゲッティングベクターを作製することにした。このターゲッティングベクターは全長約15kbのゲノミックDNAを含み、上記のエクソンの中にある制限酵素サイト(SphI)の部分にプロモーターを含むMC1neo遺伝子を挿入し、さらに約1kb下流にある制限酵素サイト(BglI)の部分にプロモーターおよびPolyAシグナルを持つHSV-TK遺伝子を挿入してあり、Positive-Negative selectionによって相同組み換え細胞を効率的に回収することが可能になっている。さらにMC1neo遺伝子の一部とHSV-TK遺伝子より上流のゲノミックDNAの塩基配列を基にPCRプライマーを設計し、相同組み換えにより遺伝子ターゲッティングが起こった場合に容易に検出できるようにした。このターゲッティングベクターを用いてマウス修復遺伝子ERCC5の遺伝子ターゲティングをES細胞に対して行った。総計で約4.3×10^6個のES細胞にターゲッティングベクターをトランスフェクションし、27,872個のG418耐性細胞を得た。このうちさらに676個のGANC耐性細胞を得た。しかしPCRとサザン法による検討の結果、遺伝子ターゲッティングが起こったと認められる細胞を発見するに至っていない。今後別なエクソン等を用いての遺伝子ターゲッティングを行う必要があると考えられる。
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