研究課題/領域番号 |
05780640
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小倉 淳郎 国立予防衛生研究所, 獣医科学部・実験動物開発室, 主任研究官 (20194524)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 発生工学 / 精子細胞 / 電気融合 / 顕微受精 |
研究概要 |
哺乳動物の精子は精巣内での減数分裂後、数日から数週間かけて形態変化、および成熟を遂げることにより初めて受精能を獲得する。しかし染色体レベルでは、すでに減数分裂直後の精子発生系列細胞、いわゆる円形精子細胞(round spermatid)の段階で、成熟精子同様同様、半数体となっており、個体発生に関与する能力を有するはずである。本研究は、この点に着目し、円形精子細胞の未受精卵への核移植により受精卵を構築し、産仔を得ることを目的としたのものである。 この1年間の研究は、マウスの実験系を中心に進め、精巣からの円形精子細胞と成熟卵子を電気膜融合させることにより、受精卵を構築することに成功した。融合パルスの前後に高周波交流電流を流すことにより、融合(受精)率は、当初の10%から25%へ向上できた。また、構築胚用の培養液の改良(グルタミン添加、グルコース減量など)により、発生率の高めることが出来た。融合後20時間の培養で、90%が2細胞期に発生した。融合と非融合卵子を培養下で確認することは出来ないため(固定標本では可能)、非融合卵子を含む475個の処理卵子を8匹の偽妊娠雌の卵管に移植した。その結果、3匹が妊娠し、6匹の円形精子細胞由来の仔が生まれた(毛色により確認)。現在追試中で、85個を2匹の偽妊娠雌に移植し、1匹が妊娠していると思われる。 本研究の結果より、精巣中の円形精子細胞も成熟精子と同様、卵子との受精後、個体を産出する能力を有することが初めて明らかにされた。この発見は、ヒト男性不妊の治療および新しい遺伝子導入動物作成法の開発を進める端緒となるであろう。
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