本研究の実験目的は、リーディング(読み)の初期過程を中心窩情報を人工的に遮蔽する特異な方法を用いて検討するところにある。この方法を利用して、読みにおいて中心窩情報が担っている役割を明らかにすると共に、近周辺視が読書などに果たす役割の解明も期待される。 本年の実施計画は、上記目的のための実験方法をパソコンと眼球運動測定装置を連動させることにより確立し、あわせて実験を実施するここである。現在装置が完成し、データを収集中である。これまでに判明したことは、中心窩情報が5文字幅以上になると実際上読みに障害が起こるという事実である。この方法が視野に暗点などをもつ視覚障害者の読みのシミュレーションにも使えることが判明した。
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