研究課題/領域番号 |
05801041
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
宮良 高弘 札幌大学, 教養部, 教授 (60073516)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 生活文化 / 祭礼行事 / 民俗芸能 / 山車 / キリコ / 奉燈 / 伝統的社会 / 重層構造 |
研究概要 |
北海道地域社会の生活文化の態様は、道南および海岸辺りの津軽海峡文化圏域の生活文化と開拓移住村の生活文化とに大別される。江差町は津軽海峡文化圏域に属し、その生活文化は形成過程の歴史が長いだけに、各文化要素の複合化が進行していることから、地域社会内部の生活文化は画一化し、類似している。江差町の生活文化は、もともと隣接する青森県をはじめとする東北地方の生活文化がそのベースとなつていたが、北前船が就航するようになってからは、上方や北陸地方、中でも能登半島の石川県珠洲市からの移住者が多数を占めるようになり、明治以降においては、異なる都府県からの移住者がもたらした生活文化が複合化した重層構造がみられる点に特徴がある。 今回の能登半島調査は、その重層構造を祭礼行事の視点からの解明を意図した調査研究であった。口能登の民俗芸能には獅子舞が多数みられるが、これは隣接する加賀・越中からの影響を受けている。北海道におけるこの系統の獅子舞は、江差町をはじめとする道南の伝統的社会においては、むしろ希薄であり、明治以降の道央・道北地方の開拓村においてみられる点に特徴がある。更に、能登半島の中能登から奥能登にかけてキリコとか奉燈とかと呼ばれる大きな燈籠を飾りたてる祭りがあるが、これらの行事は、道南の伝統的社会や明治以降の開拓村においても希薄である。こうみてくると、北海道江差町の姥神大神宮例祭において盛大に繰り広げられる神興や13基にに及ぶ山車を中心とする祭礼の形態は、能登の門前町において同一系統の山車がみられるものの、その淵源を能登半島に特定することはできないと思う。むしろ、上方を淵源とし上方から日本海をめぐり下北半島に及ぶ広範な地域に濃厚にみられる。 以上のことから、江差町の生活文化の特徴を珠洲市からの影響に拘泥することなく、青森県や北前船の就航各地との比較研究が今後の課題となろう。
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