平成5年度は猪口孝編「現代政治学叢書」(東京大学出版会刊)の既刊のもののうち、中国語訳の出版されているもの16巻について、主として索引をもととして中国語の訳本から訳語を抽出する作業を行った。 これに基づいて平成6年度は各巻別に日本語の用語とそれに対応する中国語の訳語をコンピュータに入力して訳語の検討過程に入った。とくに平成6年度後期からは毎週一日のペースで当該研究の主要メンバー3名が集まって、検討を行っている。メンバー中にNHK国際局中国課のスタッフがいるため、中国向けラジオジャパンの放送用語や、中国向け広報誌などの訳語と比較検討しつつ、中国語訳の確定作業を進めている。この過程において「現代政治学叢書」中の語彙にとどまらず、広く関連する政治用語を各自が随時出し合って、それらを取り入れ、それらについても訳語を確定して、この用語集をより網羅的なものに完成させる努力をしている。このため、集録語彙は当初の予定数よりもかなり増えることが予想される。現段階で「現代政治学叢書」の半分強の量の検討を終わったところである。 用語整理の過程で設けたいくつかの原則は以下の通りである。 1.原則として日本を中心とする西側諸国(旧ソ連を含む)の政治用語を収集するが、現代のものに限定せず、重要な歴史的用語も収録する。 2.ある国に特定される用語は( )内にその国名を表示する。 3.同義の語は=で示し、両方の語を立項する。(原則として) 4.訳語数は一語につき多くても四語程度とし、政治用語として使用頻度が高いと考えられるものから順に並べる。 理想としては英語も示すのが望ましいが、時間の制約上割愛する。当初予想していた語訳が相当数あるため、慎重な検討が必要とされる。
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