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19世紀前半イギリスの商業文明観-経済思想における諸潮流の交錯-

研究課題

研究課題/領域番号 05803001
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 経済理論
研究機関神奈川大学

研究代表者

深貝 保則  神奈川大学, 経済学部, 助教授 (00165242)

研究期間 (年度) 1993 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワード商業文明 / 19世紀イギリス / 商業精神 / ミドル・クラス / ロマン主義 / 功利主義 / カ-ライル / J.S.ミル / 経済思想 / 商業社会観 / 仕事の騎士道 / 諸条件の平等 / 多数の専制 / カーライル / トクヴィル
研究概要

この研究は19世紀前半のイギリス思想界について、商業文明に関する政治的・道徳的・経済論的な判断をベースとする諸潮流の交錯という観点で解明することを意図して設定された。今年度の解明点は以下のようである。
第一にロマン主義の社会観として、カ-ライルを検討した。-機械的時代という現代にあり方(「時代の徴候」1829)について、カ-ライルは「特性論」(1831)のなかで、人間の本能的な統一性が喪失された状態として説明する。カ-ライルにあっては、自己意識そのものが害悪だというわけではなく、対象と意識との分裂が決定的であるという状態こそが現代という時代の病弊の徴候・症状なのだとされる。自己意識論を軸にしたカ-ライルの現代観は、その基底においてドイツ観念論の系譜と深く関わっており、「特性論」は、フィヒテやシラ-などを踏まえ、とりわけシュレ-ゲルの著作をベースにおいたものなのである。
第二に功利主義的な議論として、1830年代のミルの商業文明観を検討した(国際功利主義学会で報告、英文)。-1835年にミルは、アメリカ社会のうちにデモクラシーの危険性を見据えてヨーロッパの将来像を重ね合わせるトクヴィルの見方は、あまりにもペシミスティックだとした。ミルはしかし、1836年の「アメリカの社会状態」や「文明論」を画期に、ミドル・クラスの存在というイギリスとアメリカとの共通項を認識するようになった。1840年の書評でミルは、貴族と貧民との階層格差が残存するイギリスにおいても、経済社会の進展のもとでミドル・クラスというもっとも活力に満ちた部分が増大し、少なくとも社会の推進的部分では結果的にアメリカと同様の平等の状態に近づきつつある、という理解に達した。ミドル・クラスと商業精神につき動かされる人々の内面的不安の出現をも据えた点で、ミルの議論は今日的なmodernity論に通じる面を持っている。

報告書

(3件)
  • 1994 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] 深貝保則: "T.カ-ライルの自己意識論-「特性論」(1831年)をめぐって-" 商経論叢(神奈川大学). 30(印刷中). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "Economic Man,Commercial Spirit and Socio-Politico Arguments:J.S.Mill's Prelude to Politicel Economy" Paper for the Fourth International Society for utilitarian studies. 2. 3-17 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "T.Carlyle on Self-Consciousness : A Consideration on 'Characteristics' (1831) (in Japanese)" The Syo-Kei Ronso (The Review of Economics and Commerce). vol.30, no.4(in print). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "Economic Man, Commercial Spirit and Socio-Politico Arguments : J.S.Mill's Prelude to Political Economy" Paper for the Fourth International Society for Utilitarian Studies. no.2, August. 3-17 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "J.S.Mill and the Tyranny of the Majority (1), The SyoKei Ronso (The Review of Economics and Commerce) (in Japanese)" vol.29, no.4, March. 1-22 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "Thomas Carlyle on Commercial Society : Past and Present, Keizai Boeki Kenkyu (The Studies in Economics and Trade) (in Japanese)" no.20, March. 33-59 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 深貝保則: "T.カ-ライルの商業社会観-『過去と現在』へのアプローチ" 経済貿易研究(神奈川大学). 20号. 33-59 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 深貝保則: "J.S.ミルの〈多数の専制〉考(1)-トクヴィルとの関係で-" 商経論叢(神奈川大学). 29巻. 1-22 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] Yasunori Fukagai: "Economic Man,Commercial Spirit and Socio-Politico Argccmentsi J.S.Mill′s Prelude to Political Economy" Papers for the Founth Conference of the Internatioanl Society for Utilitaran Studies. no.2. 3-17 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 深貝保則: "T.カ-ライルの自己意識論-「特性論」(1831年)をめぐって-" 商経論叢(神奈川大学). 30巻(近刊). (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 深貝,保則: "近代商業文明とロマン主義-T.カーライル復権にむけて-" 神奈川大学評論. 16号. 73-80 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 深貝,保則: "T.カーライルの商業社会観-『過去と現在』へのアプローチ-" 経済貿易研究(神奈川大学). 20号. 33-59 (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 深貝,保則: "J.S.ミルの〈多数の専制〉考-トクヴィルとの関係で-(1)" 商経論叢(神奈川大学). 29巻. 22 (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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