企業リストラクチャリングは、現下のように未曾有なまでに長期的な景気低迷の時代にあっては、焦眉の急を要する決定事項である。リストラの成否は、各企業にとって、それぞれの生き残りが掛かっいるために、それはまさに"戦略的"決定事項といえよう。企業がリストラを行う場合、外部からの働きかけ或いは外部者との取引きによって行うリストラと、企業が自発的に行なうそれとに二大別される。前者は、例えば"M&A"によったり、倒産の諸手続によって清算または再建を図ったりするといった方法が具体的には採られる。他方、自発的ないし企業内部的に行なわれるリストラは、より瀕繁にかつ広範に行なわれる。 本研究は、特に自発的リストラクチャリングに限ってみた場合、我国でみられた自発的リストラと米国でみられたそれらとを比較すると、若干の相違点を発見することが出来た。資産売却・営業譲渡や人員・負債削減といった縮小方針を当面採る傾向は日米企業間で共通している。次に、米国では工場閉鎖などの策が多いが、日本では負債増加・新市場参入など積極的な策が採られる傾向がみられた。米国企業においては、自発的なリストラの場合、その実施から完了までの期間は十年以上かかると、G・ドナルドソンらはいっているが、我国企業は、もっと短期間内に経営成果をあげてきていることを検証した。その際、企業のリストラのための努力の一例として研究開発活動を取り上げた。それによれば、研究・開発の成果は3〜5年以内に発生しそれ以降は消滅してしまうことが判明した。今後は、リストラへの企業努力とその成果のそれぞれを表す、適切な指標を模策することが、リストラ効果の測定に必要だ。
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