研究課題/領域番号 |
05804023
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
本間 弘次 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (70033131)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | アンモニウム / 生物の起源 / 38億年前 / 粘土質堆積岩 / イスカシア / 始生代変成岩 / ケノラ造山期 / 花崗片麻岩 |
研究概要 |
I.(1)グリーンランド、イスカシアの地球における最古(38億年前)の堆積岩源変成岩とその黒雲母のアンモニウム含有量について補遺試料の分析を行ない、この地域の堆積岩類の岩石種、化学組成とアンモニウム含量との間に規則的関係のあることを見いだした。石墨を含む厚い粘土質層からの粘土質岩は、より若い始生代の岩石に匹敵する高いアンモニウム含量を示し、化学沈澱岩及び火山岩源成分を含む複雑な堆積岩類では、海成粘土質成分、鉄と炭酸塩の特徴的な化学沈澱成分及び火山岩源成分の相対比によって規則的に変化する。黒雲母と全岩のアンモニウム含量の比較によって、岩石中のこれら成分のアンモニウム含量が各々解析された。 (2)イスカシアより若い始生代(27億年前)のスペリオール区ケノラ造山期の花崗片麻岩を含む高度変成岩とその黒雲母のアンモニウム含量を分析して、高度変成に伴うアンモニウムの移動を明かにした。この結果から見て、イスカシアの高アンモニウムが変成作用によってもたらされた可能性は極めて少ないことを明らかにした。 (3)これらの結果から、38億年前の堆積岩中のアンモニウムは堆積岩の堆積時の火山作用や、堆積後の変成作用によってもたらされたものではないこと、堆積時に海洋環境に存在していたアンモニウム乃至は有機態窒素化合物が粘土質成分に濃集したものであることが確定した。顕生代の岩石に見られるアンモニウムの地球化学的挙動からの類推では、38億年前に既に生物が存在していた可能性が強く示唆され、また、もし生物が存在していなかったものとすれば海底堆積物中の高い濃度のアンモニウム乃至は有機態窒素化合物が生物の化学的進化に大きな役割を果たしたことになると論じた(投稿中)。 II.窒素同位体比測定用試料調整ラインは現在作製中である。
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