研究課題/領域番号 |
05804044
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安部 琢哉 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00045030)
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研究分担者 |
小山 弘道 大阪市大学, 理学部植物園, 助手 (30047104)
成田 哲也 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (40025440)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
中西 正己 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (60025434)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | エユトーン / ヨシ群落 / 更新過程 / 生物間相互作用 / 保全 |
研究概要 |
ヨシ群落の更新過程についてのモデル(有性生殖による種子生産-砂地への散布-無性生殖による群落の形成-ヨシによる環境の改変(泥場の形成)-風などによる攪乱あるいは崩壊-水流による砂地の回復-種子散布)を作り、ヨシ群落の安定性と繁殖過程に注目しながら、ヨシ生物群集の特徴づけを試みた。 1。環境変動が大きく、種子による繁殖過程が重要と考えられる河川のヨシでも、地下茎と地上茎の両方で分布を拡大することは確認できたが、実生による分布拡大は確認できなかった。ヨシの生育地の動物群集は瀬のものと大きく異なるが、増水の場合には、通常は瀬で餌をとるイワナやヤマメがヨシの生育地に「避難」することが確かめられた。 2、琵琶湖のヨシ群落の安定性を、そこで生活する生物間の相互作用から解明するために、観察しやすい「陸上」の部分で継続調査を行なった。生物群集の主な構成種は2種の植食昆虫(カイガラムシとシンクイガ)、5種の寄生バチ、1種の肉食性鳥(オオジュリン)で、カイガラムはヨシの生育過程に対応する年3化の生活史をもち、これにほぼ対応して寄生バチも年3-4化であった。ヨシの成長はカイガラムシの体高に影響し、寄生バチはカイガラムシの体高を軸として食いわける傾向を示す。鳥はこの寄生バチの資源分配様式に影響する。カイガラムシと寄生バチの移動分散能力はかなり低下していた。 3。近年、琵琶湖に侵入したヌマチチブの生活史や食性と主に関連させて、ヨシ群落を利用する魚類の組成についての情報の蓄積を計った。 琵琶湖だけでなく河川でもヨシ群落はかなり永続性は高く、ヨシ群落には比較的「閉じた」生物群集が発達していることが明らかとなったが、大きな攪乱があった場合には、種子がヨシの繁殖過程で重要な役割を果たすことは十分に考えられる。今回の研究成果を生かして、ヨシ群落の生物群集の長期間にわたる、研究課題を発足させる。
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