研究概要 |
本研究の目的は、差分法で流体計算を行う際に著しく時間を消費する多元連立代数方程式(ポアソン方程式などを差分化したもの)をマルチグリッド法とマルチカラー法を同時に組み込むことにより、さらに高速に数値解を求めるコーディングを開発することである.連立方程式の解法は逐次過緩和法を採用した.一般に,マルチグリッド法は反復解の収束をはやめ,マルチカラー法はベクトル処理を効率的にする.この両者を同時に組み込むことにより,さらに高速化を試みるものである.二つの解法を統合させることでさらに計算効率の改善を試みた. これまでに行ったことを列記すると次のようになる. 1)これまでに開発した修正逐次過緩和法を基礎プログラムとし,マルチグリッド法とマルチカラー法を組み込んだプログラムを開発した. 2)計算機の特性を把握するため簡単な計算プログラムの計算時間を計測した. 3)基本的流れ場として非圧縮性非定常2次元円柱周り流れを解き,計算時間がどのように変わるかを比較・検討した.流れ場がこれらの数値解法に依存しないことを確かめた. マルチカラー法は(1)修正SOR法,(2)直接引用法,(3)間接引用法などの3種のコーディングの計算効率を比較した.直接引用法によるマルチカラー法が比較的,簡単なコーディングで組込むことができるし,かつ基礎プログラムの数倍の高速性能が得られた.今後はいろいろな流れ場(座標系)にこれを適用しチェックする必要がある.
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