研究課題/領域番号 |
05805079
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒川 洋一 東北大学, 工学部, 助教授 (80005298)
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研究分担者 |
人見 美賀子 東北大学, 工学部, 助手 (10241548)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ゲル / ファイバー / 酵素 / セラミックス / セルロース |
研究概要 |
申請者らは有機溶媒中でセルロース誘導体と金属アルコキシドが均一なゲル形成が起こることを認めた。そこで、複合体形成とその酵素固定やセラミックス前駆体等への利用について検討した。 セルロース誘導体のアセトン溶液を紡糸液、アルコキシドアセトン溶液を凝固液として、前者を後者中に押し出すと透明ゲル状繊維が得られる。この際、紡糸液に酵素を分散しておけば酵素が包括固定された繊維が得られる。セルロース誘導体と金属アルコキシドとの作用はエステル交換でなく、アルコール交換又は金属のOH基への配位によると考えられる。スピン-格子緩和時間を求めるとゲルを形成すると全てのCの緩和時間が長くなる傾向を示す。この事はOH基により水素結合しているセルロースがゲル形成により、水素結合がとかれることを示している。複合ゲルは通常の有機溶媒に安定である。ゲル繊維は紡糸条件によっても異なるが13〜20%の酸化物を含む。XRDでは非晶質に近く、非常に微細な粒子(<3nm)である。ゲル繊維を乾燥後、アルゴン又はN_2雰囲気中で熱処理すると炭化物又は窒化物セラミックス繊維が得られる。重量減は70〜80%に達するが繊維状を維持して焼結されている。SEM像による断面は比較的滑らかであり表面に空孔も認められないが、機械的強度はなく曲げると折れる。ZrO_2/CAゲルはアルゴン中1500℃近辺で、ZrCに、また窒素中1200℃でZrNに変わる。TiO_2/CAゲルではTiO_2→TiCが1000℃から始まり、TiO_2→TiNは1000℃近辺から始まる。固定化ファイバーについて、その繰り返し使用による活性変化は初期に急激に劣化するがその後は殆ど初期値の50〜60%を維持して安定である。酵素はファイバーの表面のみに固定化され、ファイバー内部の酵素は働いていないと考えられる。従って活性はnative酵素に比べて1/10〜1/20に低下する。活性を上げる方法としてはファイバーを細くするか、界面活性剤を用いてソフトな固定化を行うと活性向上がみられる。固定化により至適pHがアルカリ側にシフトするが、これは酸化物の両性のイオン交換性が現れているものと思われる。
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