研究概要 |
インゲンマメの小葉運動における緑色光の効果を明らかにするため、赤色光(Red;>600nm),緑色光(Green;>500nm,<600nm)、青色光(Blue;<500nm)、および白色光(White)からこれらを除去した光(-Red,-Green,-Blue)をバンドパスフィルターを用いて照射した。30分の照射処理による小葉の上下傾斜角の変化(傾斜反応)と葉枕の上部と下部の表面電位を測定し、その効果を検討した。 RedとBlueによる傾斜反応は極めて小さかったが、GreenではWhiteに続く大きな反応が認められた。しかし-GreenはGreenとほぼ同様の効果を示した。また-Blueの傾斜反応はWhiteと同程度となり、-Redは著しく小さかった。-Greenおよび-Blueには赤色光成分が含まれており、-Redではこれが欠如していた。このことはGreenのほかRedもまた他の光成分の存在により小葉の傾斜反応に関与することを示唆している。 Greenおよび-Greenの電位変動は共に、RedおよびBlueと比べると極めてWhiteに類似した。そのパターンは照射開始直後から3〜5分後までマイナス方向に変化し、その後葉枕の下部ではプラス方向に変化したが上部ではほぼそのままの電位を維持する電位分極が認められた。このような分極は、赤色成分の欠如した-Blueにおいても見られ、特に下部の変動が大きかった。-Blueは著しく大きな小葉の傾斜変化を示したので、葉枕下部の電位変動は特に小葉の傾斜反応と密接に関係することが推察された。 以上の傾斜反応と葉枕表面の電位変動の結果は、小葉運動における2つの作用スペクトルの存在を示唆した。即ち、単独で効果のある緑色光成分(500〜600nm)と他の成分の存在により効果を示す赤色光成分(>600nm)である。
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