研究概要 |
本研究の最終目標は、酵素法によるインスリンの全合成であるが、今回はその一環として、酵素を用いるA鎖及びB鎖それぞれのフラグメント縮合と、A、B両鎖の結合による一本鎖インスリン生成への応用を検討した。 酵素としては、特異性の厳密なStaphylococcus aureusV8プロテアーゼ(SAPと略)、トリプシン(Tと略)およびリジルエンドペプチダーゼ(Lと略)を使用した。8種類のインスリンフラグメントは島津PSSM-8型ップチド合成機を用いて調製した。フラグメント縮合は、高濃度有機溶媒存在下(ジメチルホルムアミド、40%)、アミン成分2mM,カルボキシル成分10mM、pH6-7、室温、1-3日、可溶系にて反応を行った。縮合は、高速液体クロマトグラフィにより調べ、下記の反応はいずれも、アミン成分のピークの消失と新しいピークの出現を認めた。新しいピークは予想される縮合物であることをアミノ酸分析により確認した。 アミン成分 カルボキシル成分 酵素 縮合物 A(1-17) A(18-21) SAP A(1-21) B(1-13) B(14-22) SAP B(1-22) B(1-22) B(23-30) T B(1-30) A(1-21) B(1-29) L B(1-29)-A(1-21) *A,BはそれぞれインスリンA鎖、或いはB鎖を示す。括弧内はアミノ酸番号。 なお、以下の保護基導入、 A鎖:Cys6-Cys11,S-S架橋;Cys7-Acm;Cys20-Acm B鎖:Cys7-Acm,Cys19-Acm
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