研究概要 |
HIV-1 RevをCOS7細胞にtransfectし過剰発現させると、Revは核小体内に蓄積し、核小体は膨満後破壊される。この時、核小体内にはrRNAが蓄積し、宿主細胞のrRNA生合成は、ほぼ完全にblockされている。BHK細胞でinducibleにRevを発現する細胞株を作製し検討すると、やはり同様の現象が観察され、さらに、Revを発現したBHK細胞では、細胞の増殖が完全に抑制され、最終的に死に至る。このようなRevの細胞傷害作用には、核小体移行シグナル(NOS)と呼ばれる塩基性に富んだ配列と、multimerization domainが必要である。さらに、実際にHIV-1に急性感染したTリンパ球でもRevによる核小体破壊が生じていることを確認した(Nosaka et al.Exp.Cell Res.1993)。我々は、このようなRevの細胞傷害作用は、Revと何らかの核小体内成分との相互作用に由来すると想定し、まず、生化学的にRevと結合することが知られている核小体蛋白B23のRev発現細胞内での動態を検討した。RevとB23は、細胞周期を通してco-localizeし、rRNAのprocessingを阻止すると、Revは、B23と共にreversibleに核質内にtranslocateした。これらのことは、B23がRevの細胞内輸送に深く関与していることを示唆している。また、Revにより核小体が破壊された細胞においては、膨満した核小体内にB23が蓄積していた。B23の機能として、ribosomal particlesの輸送が提唱されている。RevがB23の機能を阻害してribosomeのtransportをblock、細胞死を誘導する可能性もある(投稿準備中)。今後は、Rev,B23,rRNAの間の結合活性の特異性を検討することにより、Revがリボゾームの輸送というB23の機能に及ぼす影響について調べ、Revによる細胞致死機構を解析する予定である。
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