指回し体操は、空間認知兼姿勢制御運動を特徴とする簡便な健康法として研究代表者が創案したもので、1992年に一般社会に紹介された。 研究の結果、それが生体に及ぼす効果は実に多彩であり、運動系、自律系、感情・情緒系、感覚系、認知・言語系、代謝系に亘ることが分かった。 運動系では柔軟度が即座に高まり、筋力も一過性に高まることが分かった。 自律系では皮膚血流がさまざまな変動を生じ、瞳孔対光反射にも即時的な影響が生じることが分かった。 感情・情緒では主観的な元気度が増し、脳波にも影響が観察された。 認知・言語系では、迷路抜け速度、計算速度、読書速度、数字記憶力、数字認知速度などが数分の指回し体操で改善することが確認された。 代謝系では長期的に体重変動が生ずることが分かった。 また、交番磁場に対する感受性の亢進も生ずることが分かった。 このように多彩な影響が生ずる理由は、指が知的機能の拠点であり、空間認知を支える視覚と連動しながら、姿勢制御系とも密接に関わり、しかも食べる動作を通じて内蔵諸機能とも連携しているからであると考えられた。指回し体操を活用した指回し健康法の体系は、心身を総合的に高めて、健康を促進する上で有用と思われた。
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