研究概要 |
平成5年度からC型肝炎ウイルス(HCV)粒子の超微形態を明らかにすることを目的とし、抗HCV-Envelope(E1)抗体を用いた金コロイド免疫電子顕微鏡法を駆使し検討した。HCV抗体陽性・HBs抗原陰性・GPT高値供血者血漿13検体からRT-PCR法を用いてHCVgenotypeII(Okamotoらの方法、subtype1b)でありウイルス量4x10^7copies/ml以上の2検体を選び、この検体を1,000倍に濃縮後、蔗糖密度勾配遠心法にて密度別に分画した。各分画のウイルス量を定量し、HCV-RNA量10^8copies/ml以上であった浮上密度1.14〜1.16g/mlの分画をウイルス抗原として用い、遺伝子組み換えワクチニアウイルスの発現糖蛋白質(HCV-E1抗原、subtype1b)を免疫原として作製したウサギポリクローナル抗HCV-E1抗体(RR-2)またはマウスモノクローナル抗HCV-E1抗体(4種類)を一次抗体として用いた。二次抗体にはヤギ抗ウサギIgGまたはプロテインA金コロイド(5nm)を用いた。 免疫電顕下に金コロイド粒子と反応するウイルス粒子を観察した。その結果、HCV粒子は長さ7nmの繊細なスパイクを持つ直径約60nmの球形粒子であり、その内部に直径30〜35nmのコア粒子を有していることを明らかにし、英国紙Journal of General Virology,75,1755-1760,1994に論文を発表した。また、平成6年3月23日に朝日新聞社、日本共同通信社とNHKにこの研究結果を発表した。さらに、第二のエンベロープと考えられているHCV-E2/NS1抗原が、HCV粒子上に分布するか否かを明らかにすることを目的に金コロイド免疫電子顕微鏡法を用いて検討し、HCV-E2/NS1抗原もHCV粒子上に局在することを確認している。
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