研究課題/領域番号 |
05807086
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
越智 幸男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90079773)
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研究分担者 |
乾 武広 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20213134)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1993年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | TSHレセプター / TSHレセプター抗体 / 阻害性TSH受容体抗体 / 甲状腺細胞膜 / モルモット副睾丸脂肪膜 / モルモット脂肪膜 / ProteinL |
研究概要 |
甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症にはそれぞれ刺激型抗体(TSAb)と阻害型抗体(TSBAb)が病態に関与していることが知られている。自己免疫性甲状腺疾患患者血中にはTSAbやTSBAbが混在する症例、TSAbからTSBAbに移行した症例や逆にTSBAbからTSAbへ移行した症例が報告されている。今回の研究で、TSBAb活性はブタ甲状腺細胞膜で吸収されるがモルモット副睾丸脂肪膜で吸収されない場合があるので、TSHレセプター(R)以外のの部位へ作用するもの、とくにTSH binding inhibitory immunoglobulin (TBII)陰性例においてレセプター(R)以外の部位へ作用するものがある。また、単離ブタ甲状腺細胞膜にて、フォルスコリン、GTPγ、NaF、PACAPなどのcAMP増加作用をTSBAbは抑制しないことから、post receptorに作用する場合はないことを見出した。 可溶化ブタ甲状腺細胞膜をウサギに免疫して抗体を作成すると、TRAb (TBII)活性陰性であるがTSBAb活性陽性の抗体が作成されるので、TRAbはTBII陰性例でもTSHRへ直接働いて甲状腺刺激作用を抑制するものがあることが示唆された。 TSBAb-IgGをProteinLでIgG(κ)とIgG(λ)に分画した。この両IgGにTSBAb活性があるので、TSBAbの多くはポリクロナール抗体であると推定した。TSBAb-IgGをパパインまたはペプシンで加水分解したのち、cAMP増加作用を認めた。ProteinA-Sepharoseで未吸着と吸着分画に分け、Sephadex G-100に分画した。甲状腺刺激活性はFabと、さらに小分子分画(Mr 2〜3万)のところに認められた。このTSBAbのプロテアーゼ処理による甲状腺刺激作用の出現は、TSBAbとTSAbが混在していてTSBAbが多量のためTSAbの活性が抑制されていたが、プロテアーゼ処理によってTSBAbが分解され、TSAbのFab分画の甲状腺刺激活性が出現したことも否定できない。しかし、実験に用いたTSBAbは典型的な甲状腺機能低下症であるため、TSBAb-IgG内に内蔵された甲状腺刺激活性がプロテアーゼしょりにより露出、出現したことが示唆される。 TSBAb-IgG中の甲状腺刺激活性部位の同定が、阻害性抗体の甲状腺細胞膜への作用部位や作用機序の解明の緒となりえると思われる。
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