研究概要 |
1.LC-PTP遺伝子の構造および発現 遺伝子の構造の解析からLC-PTP遺伝子が11個のエクソンからなり複雑なエクソン-イントロン構造を有することを明らかにした(Oncogene9,3031-3035,1994)。LC-PTP遺伝子は,T細胞において高い遺伝子発現を認めるため,IL-2シグナルとの関連性を検索し,mRNA発現がIL-2刺激後6-9時間でピークを示す誘導を受けることを見いだした。この誘導は,蛋白合成を必要とせず,early response gene であることが判明した(FEBSL ett ,338:47-52,1994)。以上の研究成果からLC-PTPは,増殖シグナルと関連していることが示唆された。 2.SH-PTP2染色体マッピングとSH-PTP2蛋白の解析 SH-PTP2遺伝子を染色体12q24.1にマップした(Oncogene9,1751-1753,1994)。同部位は,慢性リンパ性白血病,杯細胞腫瘍,平滑筋腫などにおいて異常を起こすことから,,これらの病態との関連性が注目される。また,SH-PTP2蛋白を精製し,これに対するポリクローナル抗体を作製し,SH-PTP2蛋白が特に血管平滑筋に多く発現していることを明らかにした(投稿中)。また,前川博士(滋賀医大)との共同研究によって,SH-PTP2蛋白がインスリンセレプターと結合し,リン酸化され,SH-PTP2蛋白の酵素活性が調整されていることを明らかにした(Biochem.Biophys.Res.Commun.199,780-785,1994)。
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