研究概要 |
最近シンクロペンテノン構造を有するprostaglandin(PG)の腫瘍増殖抑制効果が注目を浴びている。今回ヒト大腸癌細胞株であるLS174Tを用い△^<12>PGJ_2の腫瘍細胞増殖抑制効果を測定するとともに、同時期の細胞周期への影響をflowcytometeyにて解析し、併せてc-myc蛋白発現との関連について検討したので報告する。【方法】LS147T1.0×1.0^6個を培養液中(DME+10%FBS+NEAA)に播種し5%CO_2インキュベーター(37℃)で48時間培養後△^<12>PGJ_2を各種濃度(0〜10mug/ml)で負荷後48時間までの細胞抑制効果をMTTassay法にて行い、同時期の細胞周期への影響をflowcytometryにて解析した。核酸合成との関連は、Wallen等のDNase/PI法に準じflowcytometryを用い検討し、細胞周期との関連は、Rowlsy等の方法に準じpropidium indide(PI)とマウス抗c-myc蛋白モノクロナール抗体の二重染色法を用いflowcytometryによる解析を行った。【結果】1)LS174T細胞株に△^<12>PGJ_2を負荷後24時間、48時間のMTTassayにおいて用量依存的抑制効果を認め、IC_<50>は2.5mug/mlであった。2)IC_<50>濃度2.5mug/mlの△^<12>PGJ_2負荷後のflowcytometryでのPARA1解析では、負荷後24時間後の%G_0+G_1,%S,%G_2+Mの対照に対する比は、それぞれ115.9±1.6%,76.1±10.0%,93.5±6.1%で48時間では113.2±1.1%,75.7±7.8%,92.6±4.3%と、負荷後24、48時間ともにG_0G_1期細胞の蓄積が認められた。3)DNase/PI法による核酸合成との検討では△^<12>PGJ_22.5mug/ml負荷24時間、48時間、72時間後の負荷前との比率をみると、それぞれ98.1±16.9%,71.3±8.8%,61.9±3.8%と対照に比しRNA染色陽性率が低く、核酸合成阻害が認められた。4)△^<12>PGJ_22.5mug/mlの濃度負荷ではc-myc蛋白過剰発現率は対照に比し増加しc-myc蛋白と細胞増殖周期との関連の従来報告とは違う結果であり、今後さらなる検討を行う予定である。
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