研究課題/領域番号 |
05807125
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平賀 章壽 大阪大学, 医学部, 助手 (40243232)
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研究分担者 |
佐古田 三郎 大阪大学, 医学部, 助手 (00178625)
瀧 琢有 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
有田 憲生 近畿大学, 医学部, 助教授 (80159508)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 不死化 / アストログリア / 遺伝子 / p53 / エチルニトロソウレア / 悪性グリオーマ |
研究概要 |
ヒトグリオーマの悪性化過程は解明されつつある反面、初期の腫瘍性変化に関する知見は乏しい。細胞の不死化は細胞レベルでの前癌状態と考えられ、腫瘍化への初期段階であるされるが、グリア細胞の自然発生的な不死化に関する報告は今までなかった。私たちはエチルニトロソウレアで培養1型アストログリア細胞が癌化し、その過程のなかで癌抑制遺伝子p53の変化が癌化細胞の出現と密接に関連していることを見出した。また、継代培養にて自然発生した1型アストログリア不死化5株を樹立した。いずれの不死化株も接触抑制を有し造腫瘍性を示さず、形態も敷石状で正常の1型アストログリアに極めて類似していたが、細胞倍化時間は正常のアストログリアよりも短く、また癌胎児性の接着分子であるtenascinを分泌し、しかも正常細胞が運動能を示さないグリオーマ由来遊走因子(GMF)に対して強い運動能を有するなど、正常とは異なった性質も有していた。形態学的には極めて類似するこの両者間で、遺伝子レベルでは不死化はどのような変化であるのかを検討した。癌抑制遺伝子p53は、それ自体が不死化遺伝子とされるので本遺伝子の異常をまず検討した。しかし、突然変異を初めとした遺伝子異常はまったく発見されず、本細胞の不死化にはp53以外の遺伝子が関与していることが明らかとなった。そこで、正常のアストログリアと不死化細胞のcDNSライブラリー間でdifferntial hybridizationを行い約200の候補遺伝子をスクリーニングした。現在、これらのシーケンスを決定して既知の遺伝子との相同性を検索し、候補遺伝子を絞りつつあるところである。このように本研究によって、ヒトグリオーマでは認められない前癌病変に相当する不死化細胞を得たことは意義深く、今後不死化自体の機序が解明されることは、グリアの発癌機序の全体像を明らかにする上でも大変重要であると思われる。さらに、グリオーマ発生の初期のkey stepを見出そうとするこの研究はグリオーマの治療戦略を考える上でも重要な役割を持つものと思われる。
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