研究概要 |
内耳の外有毛細胞のイオン濃度の調節機構は音受容に必須である。我々は顕微蛍光画像解析法を用いて、細胞内Ca,Na,pH濃度を測定し,Ca-Na交換輸送,Na-H交換輸送,Cl-HCO_3交換輸送,Na-K ATPaseが存在していることを明らかとした。Ca-Na交換輸送は細胞内Caの排出に,Na-HとCl-HCO_3交換輸送はpHの調節に,Na-Hポンプは細胞内Naの排出に関与していた。音受容では、聴毛の機械的刺激によって変換チャネルが開いて、主としてKイオンが流入する。その結果、生じる脱分極は膜のCaチャネルを活性化させ、細胞内のCaを上昇させる。次にCa依存性のKチャネルが開いて過分極する。この時に生じたCaとNaはCa-Na交換輸送,Na-Kポンプによって細胞内へくみ出される。 血管条の辺緑細胞は内リンパ液,電位の形成に重要である。内リンパ側には非選択性陽イオンチャネルとClチャネルが存在した。前者は細胞内のpH,電位,ATPによって調節を受け、後者はプロテインキナーゼAによるリン酸化によって活性化された。
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