研究課題/領域番号 |
05807167
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 英生 千葉大学, 医学部付属病院, 助手 (60210712)
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研究分担者 |
田辺 政裕 千葉大学, 医学部付属病院, 講師 (10207160)
大沼 直躬 千葉大学, 医学部, 助教授 (50125910)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ω3系脂肪酸 / エイコサペンタエン酸 / 神経芽腫 / PGE2 / procoagulant activity |
研究概要 |
【目的】癌の集学的治療において栄養管理は欠かせないものとなったが、長期遠隔成績の改善とは結びついていない。しかし、最近の臨床栄養学の進歩は、担癌生体における個々の脂肪酸やアミノ酸の作用についての解析を進めると共に投与する栄養因子の組成も自由に組み替えることを容易にした。ω3系多価不飽和脂肪酸は細胞膜構成の変化を介する種々の疾患予防効果によって注目されるようになってきた。そこで小児悪性固形腫瘍のなかでも最も頻度が高く、進行癌症例の予後が極めて不良である神経芽腫を対象としてω3系脂肪酸の腫瘍増殖、転移に及ぼす効果について検討を行った。 【方法ならびに結果】1) A/Jマウスに普通食、高ω3系脂肪酸食を与え、マウス神経芽腫C-1300を尾静脈より注入し、liver colony assayを用いて転移の抑制効果を判定した。肝転移結節数、肝湿重量/体重比、肝組織像よりω3系脂肪酸による転移抑制効果を認めた。 2)ω3系脂肪酸の転移抑制機序を検討するため、腹腔マクロファージ、脾マクロファージを採取し、LPSで刺激後、培養液上清中のProstaglandin E2 (PGE2),Transforming growth factor (TGF β)の測定を行った。ω3系脂肪酸はPGE2の産生を抑制したが、TGF βの産生は抑制しなかった。腹腔マクロファージを採取し、Procoagulant activityを測定し、ω3系脂肪酸が凝固系を抑制することが明らかとなった。 3)ω3系脂肪酸投与によりPGF2の産生が抑制されたことからcyclo-oxygenase inhibiterを投与し、転移抑制効果を観察し、肝転移の抑制と生存率の高値を認めた。 【考案】生体の細胞膜はリン脂質よりなり、摂取脂肪酸のパターンは細胞膜の脂肪酸構成に反映される。ω3系脂肪酸が膜に取り込まれる結果、エイコサノイドのタイプは2シリーズから3シリーズに変わる。さらに膜の安定性、流動性、膜に関連する酵素、レセプター、糖鎖にも影響を及ぼす。これらが各種効果につながると考えられる。腫瘍増殖抑制、担癌生体の免疫抑制防止、血管新生抑制、抗血栓作用による着床防止等多くの段階に作用する。ω3系脂肪酸の作用は多岐にわたり、さらに解析が進むなら有効な抗癌療法として期待される。
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