研究概要 |
彗星および隕石母天体における熱的進化およびこれらの天体を構成する物質の起源と変遷に関する理論的研究を行ない以下の成果を得た. 1.彗星核の新しい熱史モデルを構築した.特にアモルファス氷の熱伝導率の新しい測定結果によって,意味をもつようになった長周期彗星の46億年にわたる熱史を明らかにし,従来の定説を覆す結果を得た. 2.1と関連して,アモルファス氷の形成条件と種々の天体における氷の結晶性に関する研究を行なった.上記の彗星熱史の素過程の一つであるアモルファス氷の結晶化の一般理論を構築した. 3.炭素質隕石および彗星物質の起源に関連して,宇宙氷シミュレーション物質への陽子線照射による有機物形成に関する研究を行なった. 4.微粒子集合体の引っぱり強度の導出した.その結果をシューメーカー・レビ-第9彗星の分裂に応用し,彗星核は星間塵サイズのグレインから構成されていることを示し,母彗星のサイズを求めた. 5.以上に加えて,最近相次いで発見されたカイパ-ベルト天体の起源に関する研究,隕石や彗星の固体成分の一つであるコランダムグレインの赤外吸収係数の測定,彗星の物質の素材としての星間雲内の水および一酸化炭素の氷についての研究を行った, 1994年6月Ericeにて行われたCosmic Dust Connection国際夏の学校においてこれらの結果の一部について講義した.
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