研究課題/領域番号 |
05834018
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
近藤 昊 (財)東京都老人総合研究所, 実験生物学部門, 主任研究員 (80073013)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ヒト皮膚線維芽細胞 / 細胞遊走 / 老化変化 / 細胞増殖因子 / bFGF / PDGF / コラーゲン / 細胞老化 / マトリックス物質 / 遊走調節因子 |
研究概要 |
インビボ、インビトロ細胞老化に伴い、剥離された空所へのヒト皮膚線維芽細胞の遊走能は低下する。この遊走能低下の機構を解明するため遊走調節因子を検討した結果、成人皮膚線維芽細胞の遊走はパラクリン因子のPDGFとコラーゲンが(成人型)、胎児皮膚線維芽細胞の遊走はオートクリン因子のbFGFとコラーゲンが調節していることが分かった(胎児型)。この遊走刺激の変化がいつ起きるかを調べたところ、胎児皮膚線維芽細胞だけがbFGF刺激で遊走し、新生児、幼児、成人、老人皮膚線維芽細胞はPDGFの刺激で遊走した。すなわち、胎児型-成人型転換は誕生前に起きる。この違いを説明するために、bFGFのレセプターであるFGFレセプター1、2、3、4のmRNAの発現を検討した。結果は、胎児、成人、老人皮膚線維芽細胞にはFGFレセプター1のみが発現しており、発現量はこの順に減少した。シグナリングの胎児-成人型転換は既知のFGFレセプターでは説明されない。次に、ヒト皮膚線維芽細胞の遊走の抑制とコラーゲン合成の関係を検討した。インターフェロン-βは、ヒト胎児皮膚線維芽細胞の剥離された空所への遊走を濃度依存的に抑制することが見られた。この抑制効果は、インターフェロン-βの中和抗体で無効になることから特異的である。細胞遊走が抑制されるインターフェロン-βの濃度で、コラーゲン合成は抑制された。他方、成人血清はヒト胎児皮膚線維芽細胞の遊走を非常に強く(45%)抑制した。このとき、コラーゲン合成も抑制された。これらの結果は、コラーゲン(合成)と細胞遊走が強く相関していることを明らかにした。コラーゲン合成がインビトロ細胞老化で低下するとの報告と併せて考えると、遊走能の細胞老化における低下の主要な原因をコラーゲン(合成)によることを示唆する。
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