研究課題/領域番号 |
05836028
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
非線形科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 理学部, 教授 (10207384)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | いたるところ微分不可能なアトラクター / カオス的遍歴 / パターン認識 / ニューラルネット / 強制振動 / 分岐 / カオスニューラルネット / カオス / 非線形神経回路 / リアプノフ指数 / 相互情報量 / 非対称シグモイド関数 / 集合電位 / 記憶の保持 / 学習 |
研究概要 |
(1)カオス的力学系の新しいクラスとしてstrange nonchaosの存在が知られているが、その数学的な機構、より深い研究のひな型になる解析可能なモデルを構成した。トーラスのカオスによる摂動を考え、公理A力学系で不変多様体がいたるところ微分不可能になる系を構成した。従って、構造安定な力学系のクラスには不変多様体がなめらかなものとヘルダー連続性しかもたないものが共存する。このモデルによりアトラクターのハウスドルフ次元と位相次元の差が1を越える機構が明らかになった。 (2)生理的条件をみたしたニューラルネットがカオス的遍歴を生成するとき、学習効果が増大し、パターン認識能力も非線形分離能力を含めて向上することがわかった。 (3)動物の匂い学習実験下において嗅球でカオスが観測されているが、その機構についてモデルニューラルネットを作り研究した。この場合の構成単位は減衰振動を示す力学系である。興奮性単位の間に結合があるときのみネットワークはカオスを示した。ヘブ学習を導入すると、カオス的遍歴、進行波など実験でみられている現象が再現した。さらに、単位の力学系である2次元微分方程式系の新しい型の強制振動を調べた。すなわち強制外力は指数関数で表現されるような周期波形である。波形を一個のパラメーターで特徴付け、これを連続的に変化させることで分岐をみた。周期倍分岐、間欠性、クライシスなどが観測された。また、外力をパルスとみる近似のもとで、方程式を差分化し、2次元の非線形差分方程式を得た。 (4)10の3乗から10乗個のニューロンからなるネットワークの巨視的な振舞いにおいても線形ではなく非線形の系として見なければならないこと、リアプノフ指数の評価から、カオス、カオス的遍歴が推論過程での脳の活動にみられ得ることを示した。
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