研究課題/領域番号 |
05836038
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
非線形科学
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター・文部教官 教授 (80025395)
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研究分担者 |
堀内 利得 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 文部教官 助教授 (00229220)
渡邊 國彦 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 文部教官 助教授 (40220876)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 自己組織化 / エントロピー排出仮説 / エントロピー発生率の極大化 / 非線形構造不安定 / 微視的自己組織化 / イオン音波ダブルレイヤ / スーパーイオン音波ダブルレイヤ / 開放境界粒子シミュレーションモデル / エントロピー排出 / 自己組織化のシナリオ / 計算機シミュレーション / 秩序構造 / 無秩序因子の排出 / イオン音波 / ダブルレイヤ / スーパーダブルレイヤ |
研究概要 |
究極的に目指すところは、自然界における自発的秩序形成、即ち、自己組織化の普遍的概念を確立することである。これまでの本研究グループのシミュレーション研究により、自己組織化には以下の3つのプロセスが鍵となるというシナリオを提唱してきた。一つは、考える開放系内の非線形成(構造不安定性、非線形分岐、エントロピーの異常生産等)、二つ目は、外界からのエネルギー(情報)供給の形態(連続的供給か、瞬間的供給かなど)、三つ目は、系内に異常発生した無秩序因子(エントロピー)の系外への排出の形態(エントロピーが系内に残されているのか系外に排出されるのかなど)である。 本研究では、系内に発生した無秩序さを系内に残留させた場合と系外に排出させた場合とで系内に発生する秩序構造にどのような影響があるかをイオン音波ダブルレイヤを例に詳細に研究した。 具体的研究対象として低温イオンに相対的に流れる高温電子流を考える。まず、系内に発生する無秩序さ(エントロピー)を境界でろ過し、乱れのないフレッシュな電子流を常に系内に流入させる粒子シミュレーションモデルの開発を行った。このシミュレーションモデルが数値的に安定に働くパラメータ領域を明らかにし、数値的に安定な条件の下でシミュレーションを行った結果、スーパーイオン音波ダブルレイヤと名づけた巨大な秩序ポテンシャル(熱電子ポテンシャルの数倍以上に達する)構造が非線形構造不安定性の結果創造されることを発見した。この秩序構造に伴って、無秩序さが急激に増大することも見いだした。このことは、従来の発生した無秩序さを系内にとどめる周期条件系においては、電子の熱エネルギー程度の非常に弱いポテンシャル構造(″ノーマル″イオン音波ダブルレイヤ)しか発生しえなかったという結果と比較するとき、エントロピーを系外に排出する作用によって、発生する秩序構造に質的・量的な違いが現われることを如実に示したものといえる。ポテンシャルの大きさのみならず、その寿命も″ノーマル″と″スーパー″の間には数倍から10培の違いがあることも見いだされた。 この研究結果は、我々の提唱するエントロピー排出の物理が自己組織化にとって重要な働きをするというシナリオを一歩前進させるものである。
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