研究課題/領域番号 |
05837004
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血管生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | Flt受容体 / 内皮細胞増殖因子 / シグナル伝達 / 腫瘍血管 |
研究概要 |
内皮細胞特異的シグナル伝達系VEGF-Flt受容体の解析 我々が初めて単離したFlt受容体のmRNAがラット肝においては類洞壁内皮細胞画分に強く発現し、またVEGFがこの細胞画分(以下NP-cell)に対して強い増殖刺激活性をもつことを明らかにした。この点をさらに解析し、VEGFの効果が極めて特異的であること、すなわち、従来内皮細胞増殖因子の1つとして用いられてきた塩基性、酸性FGFが全く増殖刺激活性を示さない興味ある系であることを見いだした。さらに、へパリンがVEGFの効果を増強することも確認した。 Flt受容体のシグナル伝達系解析のモデル系として、NIH3T3線維芽細胞をもちい、リガンドの結合や細胞内でどのようなシグナル伝達系が働いているかを解析した。まず、精製VEGFを^<125>Iラベルし、Fltとの結合を調べたところ、Kd=2pM程度の高親和性結合を示すことが明らかとなった。さらに、抗体による免疫沈降と抗リン酸化チロシン抗体によるウエスタンブロッティングにより、リガンド依存性で一過性の自己リン酸化を観祭した。しかし、興味あることに、MAPキナーゼの活性化は非常に弱いことが明らかとなった。一方、GAP複合体のチロシンリン酸化は、EGF受容体高発現細胞をEGFで刺激した時とほぼ同程度に強く生じていることが見い出された。また、c-fosの誘導は非常に弱く、c-mycの誘導は認められなかった。以上のことは、VEGF受容体の1つFltキナーゼがNIH3T3細胞のバックグラウンドではシグナル伝達が不完全であり、DNA合成を誘導できないことを強く示唆している。内皮細胞系でのみなぜ増殖シグナルが伝えられるのか、NIH3T3に不足している因子が存在するのか非常に興味深く、さらに検討する予定である。
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