1.ウィスターラットの大動脈から酵素法で単離し、継代培養した内皮細胞をコラーゲンタイプ1、タイプ4でそれぞれコーティングしたシャーレで培養した。コラーゲンタイプ1のシャーレは培養内皮細胞で敷石状に単層充填した。タイプ4でコーティングしたシャーレで培養した内皮細胞は管腔を形成した。 2.直径4mm、長さ10mmのゴアテックス人工血管内面をコラーゲンタイプ1でコーティングし、それに内皮細胞を単層充填した人工血管と、内皮細胞を充填してない人工血管をそれぞれ、ウィスターラットの総頚動脈に移植した。一ヵ月後の移植血管の開存率を比較すると、内皮細胞を単層充填した血管の開存率は有為に高かった。この実験で血管内皮細胞の抗血栓性作用が確認された。 3.日本猿にクモ幕下出血を作成し、1週間後に脳血管撮影で脳血管攣縮を確認した。 その後、内頚動脈、中大脳動脈を採取し、電子顕微鏡で観察した。攣縮血管の内弾性板は求心性に屈曲し、内皮細胞の空胞変性や剥離が観察された。また、攣縮血管にマイクロバルーンを挿入し、攣縮血管を拡張した。脳血管撮影では脳血管攣縮の改善がみられた。電子顕微鏡による観察では、マイクロバルーンによる内皮細胞の障害は軽微であった。今後は血管形成術後の血管壁、内皮細胞の変化を経時的に観察したい。
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