昨年度(平成4年度)は、予算の関係上、コンピュータ以外のものにあまり予算をかけられず、そのため文献の収集とビブリオグラフィーの作成が思うように進まなかった。今年度はプリンタも購入でき、図書にもある程度予算を割けたので、学生の手も借りてビブリオグラフィーの作成が進み、手元にかなりのインディアン関係の図書をそろえることができた。また、手に入りにくい文献に関しても、京都市の同志社大学アメリカ研究所などの研究機関において複写し、かなり補なうことができた。現在は収集した資料を整理しつつ読んでいる段階であるが、種族によって異なる文化・言語をもつインディアンの伝統の全体像をつかむことはなかなか難しく、悪戦苦闘している。しかし多様なインディアン文化の中でも、口承による詩や伝説については、かなり触れることができたし、それについての研究書もいくつか読むことができた。また、現代のアメリカ・インディアン作家に関しては、毎年のように重要な作品が生まれており、こうした作家に関する研究もアメリカでは進んでいるので、私自身の理解もかなり深めることができたと思っている。そこで、インディアン文化の伝統との関連を考慮しつつ、現代インディアン作家について少しずつ論じていき、最終的にインディアン文学の全体像を捉えるような一冊の本にまとめたいと考え、まず N.Scott Momadayに関する研究論文執筆の準備を進めているところである。
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