「うそ」の言語としての側面を、言語学や語用論の先行研究を充分に読み進めて、まだ解明されていない問題点を明らかにした。 次に、「うそ」の哲学上や数学上の側面を、言語学や数学基礎論の先行研究を充分に検討して、解明されていない問題点を明らかにし、先の言語としての問題点と比較対照した。 そして、「うそ」の認知上の側面を、心理学を中心とする認知の先行研究を充分に検討して、解明されていない問題点を明らかにし、先の言語としての問題点なり哲学上や数学上の問題点と比較対照した。 このように「うそ」を認知科学的に総合的に研究し、「皮肉」や「比喩」についても認知科学的研究を進めた。 萌芽的研究という面では、真と偽という「うそ」に密接な概念について、真でもない偽でもないという第3の範ちゅうの存在が確実なものとなった。真と偽を数直線の端と考えるとすれば、中間にゼロが存在するであろうし、このゼロなるものは真でも偽でもない第3の範ちゅうである。第4の範ちゅう真でありかつ偽であるものは存在するのか?この問題は興味深いのであるが、第3範ちゅうを考えて行く上での参考になろう。
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