1.(1)安中市教育委員会では、旧藩の資料は『群馬県資料集』『群馬県資料所在目録』等にあるものの他は把握しかねる、同委員会蔵の資料も個人の閲覧には供さないとのことであったが、科学研究費補助金による研究上必要である旨を告げ、若干の閲覧を許可された。『安中市史』は平成6年度より新編の編纂事業に入る予定。旧編の板倉家の項目執筆者・小野機太郎氏は物故されている。その子孫の方には、安中市教育委員会からも資料の所在が問い合わせられたが、未だ回答が得られていない。群馬県立文書館の岡田昭二氏により、新島学園高校の淡路博和氏、群馬県の文芸研究家篠木弘明氏を紹介された。篠木氏も八方手を尽くしたが、『節山詩文集』は散逸したらしく、入手できず。勝明の漢詩は辞世に詠んだものの他一、二しか手に入らなかった。安中市図書館、群馬県立図書館、前橋市立図書館も資料なし。(2)『國書總目録』中の勝明の著作、お茶の水図書館成簣堂文庫所蔵『甘雨亭病問雑著』『病問箋記』は、それぞれ『甘雨亭病間雑著』『病間箋記』の誤記であると判明。(3)『甘雨亭叢書』は、版本前56冊の内、第40冊までは諸目録で一致するが、41冊目以降は目録の作成者により、順序も集名も異なる。『図書館雑誌』31-10に森潤三郎氏の詳論があり、同氏の結論が最も理に適っている。続三集に三種の書の計画があったが、勝明死去により版行されなかった。「続編」三巻が以前古書の入札目録に出たことがあった(篠木氏教示)。 2.『群馬文化』139号所収の木暮勝弥氏の「名君板倉勝明」、『拙堂文集』所収の「甘雨亭雑著序」、『事実文編』所収の行状等を基礎に、節山年譜稿を作成した。随時補填し、時機を見て発表の予定。 3.彼の文学観を探る材料は存外、非常に少なかった。。現存する作品は既刊「遊中禅寺記」「西征紀行」「東還紀行」が主。『甘雨亭叢書』中、勝明筆の伝記や序跋文を検討し、彼の考えを探求し、論文としてまとめるべく続行中である。
|